なんだか、このブログ(戯れ言)もどちらかというと、世間をハスに見た内容が多くて恐縮なのだが、今回はちょっとポジティブなお話を。
我が家には「アックス」という今年で15歳になる柴犬がいる。 これがまたもうりっぱなお婆ちゃん犬である。 とはいえ、食欲も旺盛で、歯は何本か抜けているがまだまだ元気。
ペットを飼っている方々にはよくご理解頂けると思うが、15年も一緒にいると、そりゃ普通のペット以上の愛着というか、人間の家族に勝るとも劣らないような確固たるリレーションが出来上がってくる。
そのアックスが、つい先日、氷雨降る夜中、つい目を離した隙に自分勝手に家を抜け出しどっかに行ってしまった。 これまでも何度か1~2時間の「プチ家出」をして、何気ない顔して戻ってきた前歴もあるし、それほど心配はしなかったのだが、この寒い雨の降る中、歳が歳だけに家への帰り道がわからなくなっても可哀想だと、家族と手分けをして探すことになった。
当然のことながら山形の11月、しかも夜中は寒い、おまけに雨が降ってる。 それに実際に探し歩いてみるとやたら暗がりが多く、2時間ほど探し回ったが、一向に見つからない。 最初はそのうち戻るだろうとタカをくくっていたが、さすがに心配になってきた。
老犬で耳も聞こえなくなっており、もしかしてクルマにでも轢かれてはいないかとか、水路に落ちて溺れているのかも、などといろんな事を考えてしまう。 しかし、夜中の2時近くにもなったし、私も前日より体調を崩していたため、その日の探索はあきらめるしかなかった。
玄関の風除室にいつも寝ているシーツを敷きドッグフードを置いて、いつ戻ってきても良いようにして、私は物音に気をつけながらいつしか寝入っていた。 夢の中で3度ほどアックスが戻ってきた夢を見たのを覚えている。 しかし翌朝、目が覚めてもアックスは戻ってきていなかった。
ううむ、こりゃいかん。 マジで心配になり、家族はとりあえず警察署と保健所へことの次第を連絡。 ま、それほど期待はしてないが、何もしないよりはマシである。
その日は運良く仕事が休日であったため、立ち回りそうな先をクルマや徒歩で探し回る。 しかしこういう日に限って、犬はおろか野良猫一匹目にしない。
お昼が過ぎ、秋の夕闇が漂い始めてきた。 まだ見つからない。 もうだめか....最悪の覚悟をしたほうがいいかな。 そう考えたとき、いままでの15年が急に思い出されて、緊張が途切れたように涙が溢れてきた。
そのときだった、一本の電話が鳴った。
それは警察署からのもので、「いま、○×通りのほうで、茶色い犬を見かけたという通報があったので、お宅のワンちゃんではないかと思ってお電話しました」とのこと。その穏やかな女性職員の声が女神のような響きであったことは言うまでもない。
その場所は、自転車でも3~4分のところである。 意外にも近所だ。 もうあたりはかなり暗くなっていたが、急いで駆けつけると、そこには近くの人に餌をもらって無心に食べているまぎれもないアックスがいた。 食べることに夢中で私にさえも気づかない。 バカ犬めー、心配させやがって。
餌を与えてくれた人にお礼を言う。 警察に連絡してくれた人にもお礼を言う。 近所の人が何人か出てきて、飼い主が見つかってよかったねー、と口々に喜んでくれている。 あちゃー、こいつ、こんなたくさんの人に心配をかけてたのかぁ。
みなさんに何度も何度もお礼を言って、どろどろになったアックスを連れて帰り、洗ってやりながら、つくづく考えた。
世の中、捨てたもんじゃないなぁ。 せち辛い世の中で、薄ら寒い事件が多い時代とはいえ、世間はまだまだ親切で暖かい人で溢れてるじゃないか。
それに警察だって、ただの迷い犬だと放っておかずにちゃんと通報があったことを連絡してくれた。 これは申し訳ないが予想していなかった。どうせ放って置かれるのが関の山と、全然期待していなかった。 警察の不祥事が取りざたされることが珍しくなくなってしまったこの時代、良い仕事をしてるなぁ、寒河江警察署!
とうのアックスは、そんなこと全然知らん顔で、今日もストーブの前でゴロ寝を決め込んでいる。
これでいい、これでいい。 がんばれ世の中!